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テーブルの真ん中

miisuke08.exblog.jp

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シンノースケ

料理教室がお休みなので、
今回は久々にヒデが担当します。
結構私の隠れファンがいるという話も聞きますので、
思う存分筆を振るいたいと思います。

息子と妻と3人でタイ・バンコクを旅行したときの話です。
タイの食はどれも絶品で、妻とは何度か訪れたことがありますが、
息子にとっては初の海外でした。

夜バンコクの空港に着き、ホテルに向かいました。
ロビーには中国人や欧米人がいました。
眉毛がつながるほど太くて、男らしい息子も
さすがに緊張している様子でした。

スーツケースを引きずりながら、
若い女性が立つ受け付けでチェックインの
手続きをしました。

その最中、女性が突然叫びました。

「ワオオオオオ」

両手で口を押さえながら、私を見ています。
いや、目線は僕の腰あたりにありました。
もしかして、南国の悪魔といわれる
黒サソリでもついているのかと恐怖を感じ
思わず手で服を払ってみましたが
何もありませんでした。

女性は再び叫びました。

「オオオオー、シンノースケ、シンノースケ」

なんだ、なんだと私は少しパニックになりました。
眠気と疲れでぐったりの妻もびっくりした様子です。
何より、息子は目をぱちくりさせています。

うん、ちょっと待てよ。
私は再度、ムンクの叫びのような女性を凝視しました。
女性の目線は、明らかに息子に向けられていました。
女性は「シンノースケ!」を連呼した後、
小走りで奥へと消えていきました。

数十秒後、その女性は再び受け付けに戻ってきましたが、
同僚の女性が一緒でした。
その女性も息子をじっと見ていました。
そして
「ワオオオオオオオオオオオオー」
と叫んだのです。

最初の女性よりも明らかに興奮していました。
「シンノースケ」と大声で叫び、
私の息子に手を振り、脇に回ってロビーに出てきました。
そしてしゃがみこみ、まじまじと息子を眺めるのです。
「オープリティーボーイ、シンノースケ」

女性はポケットからアイフォンを取り出し、
パシャパシャと記念撮影をしていました。
息子は観念した様子で、目の前の現実を
ただ受け入れていました。

私と妻はこの間に
「シンノースケ」の意味を考えました。
「シンノースケ、シンノースケ、しんのすけ、えっ」

「クレヨンしんちゃんじゃねえか?
しんちゃんに似てるってことじゃねえか?」
思わず妻に問いかけました。
「え、うそでしょ?」

よく見ると、2人の女性は両手の人差し指を
自分の眉毛のところに持っていき、息子に向かって
笑顔を向けていました。

翌朝、外出する際にロビーに行きました。
部屋で息子は
「昨日のおねえちゃん、まだいるかな。
またシンノースケって言われるかな?」
と不安がっていました。

ロビーにその女性はいました。
エレベーターを降り、受け付けに向かう途中で、
その女性は息子に気づき
「オオオオオー、シンノースケ、グッモーニン」
ととびきりの笑顔を向けてきました。
不安がっていた息子でしたが、
まんざらでもないようで
照れ笑いを浮かべていました。

最終日の夜は、有名な市場に行きました。
3人でぶらぶら歩いていると、
雑貨を売っていた若い女性が、息子に気づきました。
「ヘイヘイ、ワオオオ!」

息子は旅の最中、何度も
「オオオー、シンノースケ」と言われ、
まるでアイドルのように写真をせがまれていたので、
慣れっこになっていました。

雑貨店の女性と目が合った息子は、お約束のように
笑顔で少し顔をかたむけ、ピースサインをつくりました。
自分をかわいく見せる方法を
完全に身につけていました。

女性は、両手で頭を抑えながら
「オーーー、シンノースケ」
と身も心もとろけだしそうな勢いでした。






by miisuke1018 | 2019-01-18 14:20 | Trackback | Comments(0)